「多い」、「少ない」の表現はNGです。残業を転職理由にする場合は、具体的な時間数を示さなければいけません。

多い・少ないには基準がありません。多いか少ないかの感覚は会社それぞれ、人ぞれぞれで異なります。あいまいな表現は誤解を生みます。残業の殆どない会社に勤務している人は、月50時間の残業は非常に多いと思っています。一方、残業が100時間近い会社に勤務している人は、月50時間の残業ならたいしたことないと感じます。

残業を転職理由にする場合は具体的な数字を明示することが重要です。多い・少ないといった基準のない言葉を使ってはいけません。

例えば、「残業が平均して月100時間程度もあったため転職活動しています」という転職理由は、残業が月20時間の会社に転職したい場合は、有効です。

ここで仮にあなたが具体的な残業時間50時間を応募先企業に示さずに単に「残業が多かったので転職活動しています」と言うと、面接官は「うちは残業が月20-30時間はあるからこの人を採用するのは無理だな」と早合点する可能性があります。転職前の50時間から20-30時間へ残業時間が減るのですから応募者にとっては問題ない転職のはずです。具体的な数字を示さないと残業時間多寡の感覚の違いからこのような行き違いがおこるおそれがあります。

もう一つ例を挙げます。「残業が月50時間程度もあったため転職活動しています」という転職理由は、残業が月50時間の会社に応募した場合は不採用となります。この場合、不採用になるからNGではありません。むしろ不採用がGoodです。そもそも月50時間の残業が多いから転職したいのに、企業が不採用にしてくれなければ、再び月50時間残業の会社に入社することになり、問題が解決しません。具体的な残業時間を明示することにより、企業が不採用にしてくれて良かったということになります。

残業時間の目安は、人材紹介会社を介して応募する場合は人材紹介会社に確認しておきましょう。人材紹介会社が「この会社はそんなに残業は多くないですよ」と感覚で回答してきたら要注意です。優秀な人材紹介会社とは言えません。残業の多寡の感覚は、会社により、人により異なります。残業時間が転職理由の重要な要素であれは、必ず具体的な時間数の目安で議論せねばなりません。