会計専門職大学院が苦境に陥っています。
朝日新聞の記事によれば、昨年は学生を募集した16校全体の定員の半分ほどしか埋まらず、今年に入って3校が新規募集を停止したそうです。

かつて社会人に人気のあった中央大学大学院国際会計研究科も2017年度以降の学生募集の停止を発表しています。働きながら通学する経理の方が多くいらっしゃいました。

多くの会計専門職大学院が公認会計士試験制度変更に合わせて設立され、2010年前後までは人気を博していました。

転職活動の観点からいえば、依然として採用選考では経理実務経験の内容や過去の勤務先名に重きが置かれており、専門職大学院で得られる学位(修士)がそれほど評価されないという現実があります。

欧米では、一般企業において会計・ファイナンス修士や公認会計士が相当に評価されます。日本でも公認会計士試験制度の変更や専門職大学院の設置により変わるのではという憶測もありました。金融庁が公認会計士の積極的採用を経済界に呼びかけていた時期もありまました。しかし、中途採用における実務経験偏重の文化は殆ど変わっていないと言っていよいでしょう。

もちろん、修士取得は自身の成長のため、経理職人生には非常に有意義なものであります。ただし、それは中長期的なメリットです。直接的かつ短期的なメリット(転職や給与評価など)として現れにくい。それが会計専門職大学院人気が継続しなかった理由の一つでもありましょう。