? 200億円の申告漏れが指摘された”先進経営企業”HOYAで燻る CEOワンマン体制vs.国税、そして創業一族

以前、移転価格税制に関する大阪国税局の武田薬品工業への1,223億円の所得加算の更生が、全額取り消された。それにも拘わらず、東京国税局がHOYAの課税に踏み切ったのは、他に伝搬しかねないからという記事。

国税関係者がいう。「HOYAが製造技術という無形資産を海外子会社に帰属させたのは、子会社から研究開発の委託を受けていたから、というものです。これを認めれば、グループ間の契約によって、資産はどのようにも付け替えることができるようになります。それは、いくらなんでも認められない」

国税は感情的に認めたくないからそれをマスコミへリークするのでしょうか。国税が好まない方向に移転価格を利用すると、企業イメージがダウンするようにマスコミに報道させるよ、という他企業への脅しが目的なのでしょうか。

上の記事中の国税関係者の言葉が正しいとすれば、子会社から本社が委託を受けたということは、製造技術の研究開発費は子会社が全て負担しているということでしょう。子会社の支出によって形成された製造技術であれば当然、その無形資産は子会社のものになるのではないでしょうか。

むしろ、お金も負担していない本社がその無形資産を所有するというのは無理な話です。

記事にもあるように、HOYAは先進経営企業として知らているようです。移転価格税制を十分に考慮の上で、取引を行なっているはずです。さすがに子会社が技術開発の費用を支出していないのに無形資産だけを子会社に所有させるようなことはしていないでしょう。

このような取引は、HOYAでけでなく一般的に増加しているのではないでしょうか。御存知の通り日本は空洞化が進んでいます。日本の多くの大企業が所得を海外で得ています。グループとして、海外で得た余剰資金を研究開発に回します。研究開発費を海外の子会社が負担すれば、研究開発の成果すなわち技術は海外子会社のものです。