石油精製大手の東燃ゼネラル石油(東証一部上場)が、グループの人事・経理・支払業務の一部を日本アイ・ビー・エム株式会社に委託すると発表しました。
▼プレスリリース
http://www.tonengeneral.co.jp/news/uploadfile/docs/20130426_1_J.pdf
IBMは数年前から管理部門業務の受託を行なっています。実際の業務は中国で行なっているようです。同社HPには、他にサントリーグループ、花王、ヤマト運輸などが受託事例として挙げられています。他の有名企業がやっているならウチもというような日本企業の習性からすると、このような業務委託は今後加速度的に増えていくことになるでしょう。
経理などの管理部門業務については、10~15年前にグループ内業務を受託する子会社を設立するという形態のシェアードサービスセンターがブームになりました。業務効率化と賃金差による人件費削減が主な目的でした。経費削減の目的を達成できている企業がある一方で、ブームに乗ったものの目的を達成できぬまま継続している企業やシェアードサービスを止めてしまった企業もあります。むしろ成功している企業グループの方が少ないかもしれません。
原因は、シェアードサービス会社での人材採用、育成や定着が思うように進まず、業務品質が低下してしまったか、もしくは品質低下を恐れ、もとの企業からの出向者がシェアードサービスを行っていたために経費削減にならなかったかのどちらかに大別できるようです。
今回の東燃ゼネラルのようなケースは、グループ内という内輪でのやり取りではなく、第三者への委託です。グループ内委託で懸案だった品質と価格の問題を解決できそうです。
第三者が有償で業務を行うので当然、一定レベル以上の品質が維持されます。IBMは中国で受託業務を行うようですが、日本企業の窓口担当者は日本語で対応するようです。コスト削減面からみても、確実に日本と中国の賃金差から得られるコスト削減を見込めます。
もしかしたら将来、日本では経理の定型業務がなくなってしまうかもしれません。IBMの業務受託が成功実績を積み重ねれば、中国で日本企業の経理業務を受託する競合企業も増えていくことが予想されます。
従来の経理業務のうちの定型・ルーチン業務部分、例えば単なる記帳業務部分は減少していくでしょう。
今後の経理職は、どうすべきでしょうか?
英文会計を学ぶ?IFRSを学ぶ?
会計基準を学ぶのは当然です。ワールドカップに出場するサッカー選手がルールをよく知らずにピッチに立っているでしょうか?経理職にとって会計基準はルール、一流になるのであれば、知っていて当然です。学ぶべきか否かを悩む余地などありません。会計基準の習得は、一流のピッチに立つための最低条件です。
これからの経理職は、会社をよくいしていくための情報提供力が求められます。財務諸表をポンと渡すだけでは全く意味がありません。それはルールに則って記録しただけです。記録した情報を会社運営に役立つように加工、経営に資すること、さらには提言を行うことです。もちろん、いきなりこのレベルに達することはできませんが、最終到達点を意識しつつ、先ずはルールに則った記録をしっかりできるようにしていきましょう。