「希望の企業から内定、でも提示年収を見てみたら希望の額よりも少なかった」

このような経験をする経理転職希望者は少なくありません。

今後の生活に直接的に影響を与える部分ですので簡単には受け入れられません。一度下がった年収を元に戻すのは容易ではありません。転職活動前にしっかり心得ておきましょう。

転職エージェント経由応募している場合

転職エージェント(人材紹介会社)経由応募している場合は、転職エージェントに提示年収をアップできないか相談してみましょう。可能性があるのであれば、転職エージェントは協力してくれるはずです。

転職エージェントの報酬は年収に対する割合です。年収が上がれば転職エージェントの報酬も増えます。

コンサルタントのセンスに左右される

ただし、交渉の余地があるかないかとう判断が実は難しく、コンサルタントのセンスに依るところが大きいのが実状です。年収交渉の余地がないのに交渉を持ちかけると、求人企業の機嫌を損ねる可能性があるだけでなく、あなた自身(内定者)の心象も悪くなりかねません。逆にそれを心配し過ぎて、交渉の余地があるのに交渉を持ち掛けるべきではないと誤った判断をコンサルタントがしてしまうこともあるわけです。

それだけではありません。たまたま転職エージェントが採用企業に物を言えない関係にあるかもしれません。たまたま前回紹介した人材がトラブルを起こしているかもしれません。たまたま交渉の苦手なコンサルタントかもしれません。中堅以上の転職エージェントになると、あなたが話しているコンサルタントと企業と話しているコンサルタントが別で、意思疎通がきっちりと行われていないかもしれません。中堅以上の転職エージェントではコンサルタントの社内評価が紹介料額ではなく、人材の入社件数に重点が置かれているかもしれません。

優秀なコンサルタントに担当してもらう

このように見てくると、いかにコンサルタントの能力が大切かが分かります。転職エージェントは求人案件を繋いでくれさえすれば良いと思っている方は、考えを改めましょう。コンサルタントの能力があなたの転職を左右する場面も出てくる可能性があるのです。沢山のコンサルタントを抱えている中堅~大手の転職エージェントに登録した場合で、担当コンサルタントの能力が疑わしいときは、変えてもらうよう転職エージェントに依頼しましょう。

担当の変更はとても言い難いですが、あなたの人生に係わることですので遠慮している場合ではありません。

中小の転職エージェントには代わりのコンサルタントがいない場合もあります。その場合は、速やかに登録解除を申し出て、他の転職エージェントを訪ねましょう。

直接応募の場合(転職エージェントを利用していない)

基本的には採用担当者側から提示額についての感想を聞かれない限り、交渉は難しいでしょう。

採用担当者から聞かれた場合には、率直に自分の希望額を申し出ます。その場合は、単に「500万円です」では良い回答を貰える可能性が下がります。例えば、前職の年収が510万円で今回の提示額が490万円だった場合は、「前職の年収がが510万円でしたので、出来れば510万円、少なくとも500万円以上を希望しています」と回答しましょう。

基準となる数字を添えると、説得力のある数字に聞こえる効果があります。

採用担当者から提示年収額についての質問がない場合は、あなたが年収アップを先方に持ちかけるのは非常にリスクが高く、お勧めできません。

心象が悪くなってしまい、気持よく勤務を開始できなくなってしまうかもしれません。タイミングによっては採用自体を見送られてしまうかもしれません。

自分のポジショニングを確認する

交渉ではなく、入社前の自分の評価を確認することはできます。その評価を以って入社するかどうかの意思決定を行うこともできます。

方法は、例えば「この年収は、主任クラスの中ではどの位の位置づけになりますか?」と質問することです。

「なぜ知りたいのか?」の問には、「現在のポジショニングを確認し、入社3年後・5年後の目標設定などに役立てたいからです」などと答えます。

交渉による大きな年収アップは期待しない

場合のよっては、交渉も可能な年収ですが、大きなアップを期待してはいけません。

逆にアップを申し出たことにより、あまりに大きく年収額が変わるようなら、会社の信頼性を疑った方が良いかもしれません。

そもそも最初の提示額は何だったのかという話です。行き当たりばったりで年収を決めていて、社内の給与体系がめちゃくちゃ、マネージャーよりスタッフの年収が高いということが起きている(実際にありました)可能性も否定できません。そのような職場は社内が間違いなくギクシャクしています。

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